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rest is noise News 3
6月4日にベルク協会で沼野雄司さんと<『20世紀を語る音楽』を語る>というささやかな会をさせていただきました。
前半は、翻訳をしている間に気づいたシェーンベルクとマンの論争について、調べたことをお話しさせていただきました。この問題は、本のなかでちょっと出てくるだけですが、当時は音楽界と文学界を巻き込んだ、大きな論争に発展していたようです。この問題を扱った本まで、シェーンベルクの子息の編纂で最近出版されました。
小説のなかに出てくる音楽についても、合わせて紹介しました。
いちばん面白いのは、最後に出てくる《ファウスト・カンタータ》で、これはゲーテのファウストではなく、ヨーハン・シュピースの『実伝ヨーハン・ファウスト博士』がもとになっています。
マンの小説を読んで刺激を受けた作曲家はたくさんいたようですが、音楽として面白いのは、シュニトケの《ファウスト・カンタータ》です。やはり同じシュピースの物語をもとにしていて、かなり怖い地獄落ちの場面は、マンの小説では舞曲ということになっていて、シュニトケもタンゴを使っています。相当に怖い不気味なタンゴですが、さすがシュニトケと思わせる曲です。(※ちなみにフィギュアスケートの浅田真央さんがつかっているシュニトケのタンゴはこれとは別の曲です。)
この曲を最後にかけさせていただきました。
後半は、沼野さんが、ロスの本の要点を各章ごとにピックアップしてくれました。
じつに的確な読みをしてくださったと思います。
会場から、ヨーロッパでの評判はどうか、とくにドイツはこういう内容にどういう反応を示しているのかという質問がありました。
アマゾンでの反応を見るかぎり、ドイツもフランスもひじょうにいい評価をしているようでした。
またこの本は、イギリス、フランス、イタリアで(日本でも)賞をとっています。
さらに北欧でも翻訳が進んでいるようで、いまや世界中で読まれているようです。


レジュメ1
■ シェーンベルク/マン論争

1947年『ファウスト博士』出版(ドイツ語版)
1948年1月14日 マン、ドイツ語版をシェーンベルクに献呈。「本来の主人公に」
1948年2月16日 Hugo Triebsamen(シェーンベルクの弟子)からMへ手紙。(じつはシェーンベルク自身が書いたもの。未来の架空の辞典『エンサイクロペーディア・アメリカーナ』の項目にシェーンベルクの名前が見当たらない。)
1948年2月17日 MからSへ返信。手紙の内容が理解できないことを表明。
 (「誰がいわゆる12音技法の創始者であるかは、今日おそらくどんなムーア人の子供でも知っているでしょう」。)
1948年2月21日 アルマ・マーラー・ヴェルフェルがMに電話。(「12音技法が自分の精神財であるというメモ」を書くようSが求めていると伝える。)
1948年2月23日、後記(メモ)を書き始め、25日にほぼ完成。
1948年2月26日、S、作者の融和的姿勢に感謝の意を述べる。
1948年英語版出版 M 『ファウスト博士』の22節に加筆し、12音技法がシェーンベルクの発明によるものであることを説明。(その後、ズーアカンプ版(1948)、フィッシャー版(1951)にも書き加える。)
1948年8月S、長編小説の英語版を受け取り、感謝の意を伝える。
それでも論争は続く。
1948年10月20日 S:レイボヴィッツとルーファーに手紙。(後記を見たが、ほとんど知られていないただの同時代人として扱われている、と不満)
1948年11月13日付け S:“Saturday Review of Literature”へ手紙
(マンは『ファウストゥス博士』で許可を得ずに12音技法を使った。本の末尾に声明を付したが、誰も気づかないような場所であり、私を矮小化しようとしている。)
1948年11月25日 SからMへ手紙。Triebsamenの手紙は自分が書いたものであることを明かす
1948年12月10日付け M:“Saturday Review of Literature”へ手紙
1949 年1月1日  “Saturday Review of Literature” 両者の文章を英訳して掲載
(後記を付したことを説明。レーヴァーキューンのモデルはシェーンベルクではない。)
1949年3月 “Der Monat” vol. 1, no. 6 両者の文章を独語で掲載 
       前書きはSに批判的
1949年秋 “Music Survey”誌がSの文章を掲載。“Further to the Schoenberg-Mann Controversy”
1950年1月2日 SからMへ和解の申し入れの手紙(斧をおさめましょう。80歳の誕生日に公的に仲直りしましょう。)
1951年7月13日 シェーンベルク没
1951年10月19日  M: シュトゥッケンシュミットの『シェーンベルク』論の序文

Mann, Michael. 1956. The Musical Symbolism in Thomas Mann’s Novel Doctor Faustus. Notes 14, no. 1:33-42. (ミヒャエル・マンはヴァイオリニスト)
Shoenberg, E. Ronald. 2009. Apropos Doktor Faustus, Briefwechsel Arnold Schönberg–Thomas Mann 1930-1951. Wien: Czernin.


備考:Arnold Schönberg (1874-1951) Thomas Mann (1975-1955)

レジュメ2

■マンの『ファウスト博士』における音楽 (小説:全集版)(AR:ロスの訳本)
                    (成立:『ファウストゥス博士の成立』)
Adrian Leverkühn (1885~1940)
●オペラ《恋の骨折損》(シェークスピアによる)
 ドビュッシーの《ペレアス》と同じように聴衆の3分の2が帰る

●オペラ組曲《ゲスタ・ロマノールム》

●弦楽三重奏曲
 参照したのは、シェーンベルクの弦楽三重奏曲
 「演奏はきわめて難しいが、その甲斐がある」(小説XLIII, p. 478)(AR p. 35)
 →「この曲の演奏は極度に困難というかほとんど不可能なのであるか、もしくは三人の演奏者が巨匠級の名手であるときにだけ可能なのであるが、それでいて音響効果が抜群のものだから非常にやり甲斐のある曲なのだ」とシェーンベルクは述べた。私はこの「不可能だがやりがいのある」という言葉の続け方をレーヴァーキューンの室内楽の章にとりいれた。(『成立』p. 653)

●オラトリオ《デューラーの木版画による黙示録》(かなりの短期間に完成、フランクフルト・アム・マインの「国際現代音楽協会)のフェスで演奏、指揮クレンペラー)(1926)
 エレミアの哀歌、ダンテの詩
 多様な音楽様式をパロディ化
 ニグロ風の太鼓とゴング、トロンボーンのグリッサンド、ジャズの響き
 ※Ligeti: Requiem(AR: 491)
 ※Bengt Hambraeus: Apocalipsis cum figures secundum Dürer (1987)

●ヴァイオリン協奏曲
 ※Hans Werner Henze:Violin Concerto No. 3(I. Esmeralda; II. Das Kind Echo; III. Rudi S.)(1997)

●カンタータ《ファウストの嘆き》(1928)
ヨーハン・シュピース『実伝ヨーハン・ファウスト博士』*(1587)にもとづく
レーヴァーキューン最後の作品。 12音技法による厳格な作品。
地獄堕ちを凶暴な舞曲で表現。 ベートーヴェンの『第九』の対極。
h e a e esの音型(Hetaera Esmeralda)
《叙情組曲》(ベルクの最初の12音技法による作品)についてのアドルノの記述を参考。
 
※Alfred Schnittke: Seid Nüchtern und Wacht (Faust Cantata) (1982-83)
 シュニトケ:慎んで目を覚ましておれ(ファウスト・カンタータ)

*藤代幸一・編 1988『ファウスト博士』松浦純・訳国書刊行会。
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# by amunika | 2011-06-26 18:20 | Rest is Noise
Rest is Noise News 2
『20世紀を語る音楽』が出版されてから、何人かからいいコメントをいただきました。みなさんすごく面白いと言ってくれています。先週日曜日には、朝日新聞に奥泉光さんの書評が出ましたし、今日12月19日づけの読売新聞には、片山杜秀さんが生きのいい書評を書いてくれています。「われわれはようやくまっとうな音楽史を手にした」。また今日の朝日新聞には、書評委員お薦め「今年の3点」にやはり奥泉さんがあげてくれています。まずまずの滑り出しといえるでしょうか。
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# by amunika | 2010-12-19 22:22 | Rest is Noise
Rest is Noise news 1
このたび拙訳で、アレックス・ロスの『20世紀を語る音楽』(みすず書房)が出版されました。
11月24日発売です。
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# by amunika | 2010-11-20 15:16 | Rest is Noise
   
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